パンチアウトサイトの売上をアップさせるためには?
購買・調達NAVI
購買調達DX を背景に購買管理システム を導入するバイヤー企業の増加により、パンチアウトカタログ 経由での発注件数は右肩上がりで増えています。今後購買管理システムを導入する企業がさらに増えるにつれ、パンチアウトカタログ経由での取引量もますます増加することが見込まれます。
しかしながら、日本においてはパンチアウトカタログを利用した購買取引はまだまだ発展途上で、MRO やオフィス用品等の限られた一部のカテゴリでの利用にとどまりますが、海外では、フィールド機器や計量機器、配管部品、マーケティング商材等のカスタマイズが必要な製品についても、パンチアウトカタログ経由での購買取引が行われています。海外と比較すると日本のパンチアウトカタログの活用は遅れている状況であるため、今後まだまだ成長・拡大する余地はあると言えるでしょう。成長し続ける領域においては、企業は売上を拡大できる可能性が大いにあります。しかしその反面、新規参入企業や競合となる企業も増えるため、競争優位性や独自性を発揮して売上拡大に繋げる戦略・施策が必要不可欠です。ここででは、パンチアウトサイトの売上拡大のポイントから実際の施策を具体的にご紹介していきます。今後のパンチアウトサイトの戦略・施策について検討している方は、ぜひご参考下さい。
パンチアウトサイトの売上を伸ばすポイントとは?
パンチアウトカタログは、バイヤー企業の購買管理システムと統合されたカスタムメイドのECサイトのことですが、ただのECサイトと考えるよりもWEB上に設けた、個別のバイヤー企業専用の仮想営業所と考える方が適切かと思います。そのため、パンチアウトサイトの売上を増やすには、リアルの購買取引と同じようにバイヤー企業のユーザーのニーズを的確に把握して、地道に検証・改善を施していく必要があります。ただ、勘やイメージで施策を実施しても、思うような効果が得られず、結果の検証もできません。効果的・効率的に売上を増やすには、数値やデータを把握・分析した上で、改善していくことが非常に重要です。
パンチアウト連携可能な旨をPRし、パンチアウト連携先を増やす
自社のパンチアウトサイトの売上をアップさせるためには、バイヤー企業の購買管理システムとパンチアウト連携されていることが大前提となります。パンチアウト連携先がなければ、パンチアウトサイトの売上は上がりません。従って、パンチアウト連携先がない場合or少ない場合は、自社ECサイトがパンチアウト連携可能であることをPRし、パンチアウト連携先を増やす必要があります。現在、SAP AribaやCoupa、TWX-21、楽々ProcurementII等のパンチアウト連携機能のある購買管理システムを通じて取引しているバイヤー企業がいる場合は、そのバイヤー企業のカタログ担当者に自社のパンチアウトカタログをPRし、パンチアウト連携を検討してもらいます。一方で、現在全く取引のないバイヤー企業とパンチアウト連携を実現するためには、自社のWebサイトやセミナー等で、自社のパンチアウトカタログの認知度を向上させる必要があります。
来店者数(自社パンチアウトサイトへのアクセス数)を増やす
バイヤー企業の購買管理システムとパンチアウト連携後は、いかにバイヤー企業のユーザーからのアクセス数を増やすかが重要なポイントです。パンチアウトサイトは、特定の企業・エリアが商圏となることが最大の特徴です。特定の企業・エリア毎に最適にカスタマイズして商品やサービスを販売できることがパンチアウトカタログのメリットですが、バイヤー企業の購買管理システム上では、競合のパンチアウトカタログが同じ土俵で集客を行っているため、自社パンチアウトサイトの来店者数(アクセス数)を増やすには、適切な施策を実施する必要があります。パンチアウトサイトの来店者数(アクセス数)を増やす各施策と実施上のポイントについて、以下にご紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
バイヤー企業ユーザーに認知してもらう
せっかくバイヤー企業の購買管理システムとパンチアウト連携したにも関わらず、自社のパンチアウトサイトがバイヤー企業社内で認知されていなければ、当然パンチアウトサイトは利用されず、売り上げは伸びません。パンチアウト連携完了後、バイヤー企業の担当者と協力して、バイヤー企業社内で自社カタログを周知していきましょう。利用方法が難しい場合は、操作マニュアルを用意するとともに、必要に応じてバイヤーユーザーに対してトレーニングの機会を提供することも効果的かもしれません。
レベル2パンチアウトカタログ対応
バイヤー企業が使用している購買管理システムが SAP AribaやCoupaといったL2パンチアウト連携が可能なものである場合、バイヤー企業のユーザーは目的の商品をパンチアウトサイト上で探すのではなく、自社の購買管理システム内で探すことができます。
したがって、レベル2パンチアウトカタログに対応することで、バイヤー企業のユーザーがパンチアウトサイトにアクセスしやすくなり、自社の製品認知度やパンチアウトサイトへのアクセス数の増加に繋がります。とりわけ、MROやオフィス用品等の商品については、パンチアウトサイトで目的の商品を検索するのではなく、バイヤーの購買管理システムで商品検索して、購入する傾向にあります。
購買管理システム内SEO対応
バイヤー企業で使用している購買管理システムが「レベル2パンチアウトカタログ対応」であることが前提ですが、バイヤー企業の購買管理システムの検索アルゴリズムに合わせて検索上位表示を狙う「購買管理システム内SEO」を施すことも効果的です。バイヤー企業のユーザーが検索すると想定されるキーワード orバイヤー企業より検索値のデータを提供してもらい、バイヤー企業の購買管理システムの検索アルゴリズム*を把握の上、少しでも検索上位に表示されたりクリックされやすくしたりするため、自社のカタログ情報にSEO施策を行うことが非常に重要となります。
*SAP Aribaの検索アルゴリズム・仕組み
*Coupaの検索アルゴリズム・仕組み
転換率(購入率)を上げる
転換率(CVR:コンバージョン率)は、ユーザーが自社のパンチアウトサイトへアクセス・閲覧し、商品を購入した割合を示す比率のことをいいます。転換率を上げるためには、ページビューやインプレッション率などのサイト運営に関するデータや数字を基に、サイトデザインの改善やユーザビリティの改善など、何を改善していくべきかをPDCA(Plan・Do・Check・Action)に照らし合わせて、実行していくことが大切です。下記では、転換率を向上させるために何が必要なのか、具体的な施策や方法をご紹介します。
コンテンツの最適化とA/Bテスト
ユーザーの購買意欲を高めるためには、パンチアウトサイト内のコンテンツの充実や取扱商品の拡充など、ユーザーが必要とするアイテムを如何に揃えられるかも重要なポイントですが、それ以外にもサイトの離脱率を下げることも重要な要素ーの一つとして挙げられます。例えば、ユーザーがサイト内で必要なアイテムを検索、認知したとしてもカートへ投入するまでに、何らかの理由でサイトを離脱してしまうと転換率は下がってしまいます。言い換えれば、サイトの離脱率が低ければ転換率も高くなるということになります。ユーザーの離脱を如何に防ぐかが重要になってきます。コンテンツの充実や取扱商品の拡充、サイト離脱率の改善の2点を考慮しつつ、パンチアウトサイトのデザイン・構成・ユーザビリティ・コンテンツ・取扱商品などの各種項目を見直していくことが、転換率を上げるために必要な施策となります。A/Bテストとは、AパターンとBパターンという2つの異なる施策を同時に実施し、結果が良いパターンを採用するという手法で、PDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルとの相性が良く、結果に基づく施策のため、分析もしやすいというメリットがあります。時間と労力を必要としますが、さまざまなパターンのA/Bテストを繰り返しながら、自社のパンチアウトサイトに最適なベストパターンを探し出すことが、最も確実な方法となります。
購入プロセス(チェックイン~チェックアウトまでのフロー)を簡単にする
バイヤー企業のユーザーが、購買管理システムから目的のパンチアウトサイトor商品まで素早くアクセスできたとしても、その後の購入プロセスが複雑だとそこで離脱されてしまう可能性があります。とりわけ、PCやフィールド機器、ゲノム関連製品等のカスタマイズが必要な商品を購入する場合、購入プロセスが簡単でないと、離脱されてしまう可能性が高いと言えます。
これらの対策を実装するには、パンチアウトサイトを改修 or ツールを導入するかのどちらかが必要になります。もし、バイヤー企業のユーザーが商品購入するにあたって、不要なプロセス・入力項目が残っているようであれば、プロセス・入力項目の見直しも同時に進めるべきです。
パンチアウトサイト内検索の整備・拡充
パンチアウトカタログを利用してサイトにアクセスしたユーザーは、カテゴリ分類や各種ナビゲーションなどを利用するだけでなく、サイト内検索機能を利用して目的の商品を探すパターンが多くあります。特に、予め購入する商品を決めているユーザーや多数の取扱商品がある規模の大きなパンチアウトサイトを利用するユーザーほど、検索機能を多用するという傾向があります。検索機能が脆弱なパンチアウトサイトの場合、ユーザーが目的の商品にたどり着けず、サイトを離脱してしまう可能性が高くなり、CVR(転換率)の低下を招きます。またユーザーが複数回、商品検索を行っても辿り着くことができない場合には、実際にはサイト内での商品販売を行っているにも関わらず、当該商品の取り扱いがないと判断し、他のパンチアウトサイトで商品の購入をする可能性もあります。これらの状況に陥らずCVR(転換率)を向上させるには、ユーザー視点に立った利便性の高いサイト内検索機能を実装することが重要なポイントとなります。ここではパンチアウトサイト内での検索機能の拡充・整備について、具体的に解説していきます。
類義語・表記揺れ対応
類義語・表記揺れ対応とは、ユーザーがサイト内検索を行う際、検索フォームへ入力したワードの誤差を判断し、ユーザーが求めている適切な検索結果を表示する機能です。この類義語・表記揺れ対応の機能をサイト内検索に搭載することで、正確なキーワードが分からない場合でもユーザーの求める検索結果を表示することが可能になります。正しい商品名・カテゴリ名・ブランド名などの正確な情報が分かったうえで、サイト内検索を実施するユーザーは意外に少なく、あんな感じの商品だったはずという不正確な情報を基に検索をすることが多いのが実情です。また打ち間違いや誤字、変換ミスなどにより、類似のキーワードを入力してしまうケースは多くあります。類義語・表記揺れの例としては、下記のようなものが挙げられます。
サイト内検索機能が、特定のキーワードにしかヒットしない仕様の場合、正確な検索結果が表示されずに購買意欲の高いユーザーを逃してしまう可能性が高くなります。特にサイト内検索を利用するユーザーが多いパンチアウトサイトでは、類義語・表記揺れへの対応ができていない場合には、購買意欲の高い優良ユーザーを取り逃がす確率も高くなるため、注意が必要です。類義語・表記揺れへの対応を実装し、多くのユーザーが使いやすいと感じられるサイトにすることで、CVR(転換率)の向上やリピート率の向上に繋がるといったメリットもあるため、是非、対応しておくことをおすすめします。
サジェスト検索
検索フォームにキーワードの一部を入力すると、ユーザーが入力しようとしているキーワードを予測して表示してくれる機能を「サジェスト検索」といいます。この機能を搭載することで、正確な商品名や型式などが分からずに商品検索を行っているユーザーに対し、商品検索の選択肢を提示することが可能となるだけでなく入力の手間を省き、ストレスを低減することができます。
特にカナ、英字、数字などが含まれるような長い商品名の場合、サジェスト検索機能のサポートが入ることでユーザビリティが向上し、結果、CVR(転換率)の向上を見込むことができます。
アマゾンや楽天、Yahooなどの大手ECサイトでは、サジェスト検索機能が搭載されており、多くのユーザーが基本機能として認識しているため、パンチアウトサイトで商品検索をする際にも、当然サジェスト表示されると考えている方が殆どだと考えられます。サジェスト検索機能を実装していないことで、ユーザーが商品検索を断念し、サイトを離脱してしまう可能性も高くなります。パンチアウトサイトにおいてユーザー離脱による機会損失を最小限にするためにも、大手ECサイトのようなサジェスト検索機能を実装しておくことが重要です。
絞り込み検索
絞り込み検索機能とは、パンチアウトサイトにてユーザーがサイト内検索を行い、表示された結果を基に、さらに細かく検索を行う、若しくは類似商品を探す場合に、さらにカテゴリ・価格・ブランド・カラー・サイズといった条件で分類・絞り込みを行うことができる機能です。
例えばモノタロウのように、膨大な数の取扱商品があるパンチアウトサイトでは、ユーザーがサイト内検索を利用した場合、探している商品だけでなく、数多くの類似品がヒットし表示されます。絞り込み検索機能を実装していない場合には、ユーザーが表示された候補をひとつずつ確認しながら、探している商品を見つける手間が必要となり、検索途中でサイトを離脱してしまうことに繋がります。自社のパンチアウトサイトに絞り込み検索機能を搭載することで、各階層ごとの詳細な絞り込みが可能になり、ユーザーが必要な商品を見つけやすくなるため、ユーザビリティが向上し、CVR(転換率)の向上に繋がります。サイト内の検索機能の拡充や改変を検討する際には、類義語・表記揺れ対応やサジェスト検索機能などと合わせて実装しておきたい機能です。
特化型検索&製品選定ツール
取り扱っている商材に合った検索機能・製品選定ツールを実装することも、ユーザビリティの向上に繋がります。例えば、試薬のパンチアウトサイトでは、一般的な検索フォーム機能に加え、「構造式検索」を実装することも効果的でしょう。一般的な検索フォームへの入力では、表現しにくい置換基の位置や立体、分子構造を正確に検索できるのが「構造式検索」。「構造式検索」を実装することによる、ユーザーにとって次のようなメリットがあります。
- ・化合物名やCASが分からない場合でも、構造式を描画して検索可能
- ・化合物名が複雑な場合は、構造式入力の方が効率的に検索できる
- ・おおよその構造を描けば、部分一致検索で候補化合物群が検索可能
- ・類似検索や各フィルタリングなどの機能を使えば、詳細な絞りこみ検索ができる
特化型検索&製品選定ツールを実装する際は、自社で取り扱っている商材を見極めた上で、ユーザビリティー向上につながる検索機能&製品選定ツールを導入することが重要なポイントです。
適切な施策を講じ、自社パンチアウトサイトの売上アップへ!
自社のパンチアウトサイトの売上をアップさせるには、今回紹介したCVR(転換率)アップや検索機能の充実に加え、通常のECサイトで使われるユーザーに合わせたパーソナライズや客単価アップ手法(クロスセルやアップセル等)なども取り入れていくことも重要となります。どの手法を利用するにしても、まずは自社のパンチアウトサイトを細かく分析し、改善すべき点を把握することが大切です。パンチアウトサイトを利用するユーザーの視点に立ち、不得意な分野を改善しつつ、得意分野でさらに売上を伸ばせるようなアイデアや施策を行うことで、着実に成果を出すことができるようになります。