UNSPSCとは?目的や活用方法、メリット・デメリットを徹底解説!
購買・調達NAVI
企業間電子取引(B2B)における商品分類に使用される「UNSPSC」。購買支出を可視化できる環境を整えるという重要な役割も担っています。購買調達DXを背景に、企業での購買管理システムの導入が進むにつれ、ますますその役割は重要になってきています。
UNSPSCコードとは
UNSPSCとは、国連が定めるカテゴリ分類コードのことで、United Nations Standard Products and Services Code (国連標準製品サービスコード)の略称です。一般的には、あまり馴染みがないかもしれませんが、B2Bの電子商取引で利用されるカテゴリ分類体系で、有形の商品以外にも無形のサービスにもカテゴリ分類コードが付与されています。
世界中で共通利用されているカテゴリ分類コードであるため、この世に存在する品目ほぼ全てにコードが付与されています。OA用紙や封筒類などの事務用品はもちろんのこと、工具や実験機器などのMRO、社員研修やコンサルティングサービス等の無形商材など非常に多岐にわたる分類分けがされており、カテゴリ数は2万以上にも及びます。
多数の品目が網羅されていながら、「モレなく、ダブりなく」有用な分類基準で分類されいるのが最大の特徴です。UNSPSCコード一覧は、UNSPSC公式Webサイト で確認できます。PDF版であれば無償でダウンロード可能です。
UNSPSCコードの分類体系
UNSPSCコードは、「セグメント」「ファミリー」「クラス」「コモディティ」の4つの階層から成る8桁の数字で構成されています。それぞれの階層は2桁の数字で表され、階層が深くなるにつれて桁数が2桁ずつ増えていき、カテゴリ分類が細かくなります。具体的には、「第1階層」は2桁の数字で表され、一番深い「第4階層」は8桁の数字で表されます。
また、1つのカテゴリが複数のカテゴリー(ファミリー)にまたがることはなく、同一のカテゴリにまとめられており、モレ・ダブリなく、網羅的なのが特徴です。
UNSPSCの4つの階層は次のように分類されます。
8桁の数字による4つの階層分類(SSFFKKCC)
SS 第1階層:セグメント(2桁の数字)
普遍的なカテゴリで構成される階層
XXFF 第2階層:ファミリー(4桁の数字)
セグメント階層のカテゴリに関連するカテゴリで構成される階層
XXXXKK 第3階層:クラス(6桁の数字)
ファミリー階層のカテゴリからさらに細分化されたカテゴリで構成される階層。各カテゴリは共通の特性を持ちます。
XXXXXXCC 第4階層:コモディティ(8桁の数字)
クラス階層のカテゴリからさらに細分化されたカテゴリで構成される階層。製品・サービスの特性や種類で分類されたカテゴリ。
例えば、FAXのUNSPSCコードは44101502で、下記のような階層構造になります。
44000000-【セグメント】オフィス用品とその付属品
44100000-【ファミリー】オフィス用記録機器と付属品
44101500-【クラス】複製機器
44101502-【コモディティ】FAX
UNSPSCコードを利用する目的
UNSPSCコードは、バイヤー企業においては「購買データの可視化」や「購買プロセスの制御・管理」等に使用され、サプライヤーにおいては「自社商品・サービスの分類」に使用されます。では、具体的にどのように使用されているかについて解説していきます。
購買データの可視化
購買支出の可視化を実現するためには、支出データに適切な分類コードが付与されている必要があります。より正確には、バイヤーが分析できるレベル(粒度)で分類コードが付与されている必要があります。この購買支出の分類設計は極めて重要で、全社共通のものとして網羅性のあるものでなければなりません。
しかしながら、そうした分類コード体系を一から設計・構築していくのは膨大な労力と時間がかかるため、モレ・ダブリなく、網羅的な分類体系である「UNSPSC」が広く利用されています。
実際にUNSPSCを導入するにあたっては、バイヤーが適切に管理できるレベルで利用する必要があります。第1階層(セグメントレベル)のみの利用といった荒すぎる分類では使い物にならず、第4階層(コモディティレベル)のみの利用といった細かすぎる分類でも管理が追いつきません。
UNSPSCコードは、全部で約2万以上の品目分類がありますが、適切に導入・利用しないと、ユーザーが発注時に適切なUNSPSCコードを指定できず、結局運用できないことになりかねません。UNSPSCを効果的に活用するためには、ユーザビリティ(ユーザーによる適切なカテゴリの選びやすさ)と有効な購買データの蓄積(後々の購買データ分析に耐えうるデータ品質の確保)という点から、導入・利用前に使用するカテゴリーやその階層を決めておくことが非常に大切です。
購買プロセスの制御・管理
UNSPSCコードは、購買プロセスの定義や切り分けにも利用されます。購買業務には、「都度見積購買」「カタログ購買」「請求書払い」など、様々な購買プロセスがありますが、UNSPSCコードは、そうした業務プロセスの切り分けや管理にも使用されます。
パンチアウトカタログの商品分類
UNSPSCコードによる購買統制や支出分析の強化といったバイヤー企業のニーズに対応するために、パンチアウトサプライヤーにおいても「UNSPSC」の利用が進んでいます。
例えば、モノタロウのパンチアウトサービスは、UNSPSCによる商品分類に対応しています。モノタロウのECサイトは、バイヤー企業のロングテール購買に対応できる膨大な商品数を取り揃えているのが最大の強みですが、それゆえバイヤー企業によっては購入制限が必要なケースが発生します。
UNSPSCによる商品分類が正確に行われていれば、特定の商品カテゴリーに購入制限をかけたいなどのバイヤー企業の購買統制のニーズに簡単且つ細やかに対応することが可能です。
また、上述したバイヤー企業における有効な購買データの蓄積や可視化にも繋がります。
UNSPSCコードを利用するメリット・デメリット
UNSPSCコードを利用するメリット・デメリットを、「バイヤー企業」と「パンチアウトサプライヤー」の視点で以下の通り整理しました。
バイヤー企業のメリット
コード体系の構築が不要
UNSPSCをそのまま利用するので、手間や時間がかかりません。一から独自のコード体系を設計・構築するには多くの時間や手間がかかります。
スムーズなパンチアウト連携の実現
程度に差はあるものの、ほとんどのパンチアウトサプライヤーはUNSPSCに対応しているため、使用するカテゴリコードの調整等の作業が発生せず、スムーズにパンチアウト連携を進めることができます。
一方で、独自のコード体系を利用してパンチアウト連携する場合は、サプライヤーとの個別調整が必要になるため、時間と手間がかかってしまいます。
容易な海外展開
UNSPSCはグローバルなコード体系であるため、世界中のどの国でも通用します。海外拠点も含めた全社共通のコード体系を展開・推進しやすいです。
バイヤー企業のデメリット
既存のコード体系との整合性の問題
既に使用しているコード体系がある場合、コード体系の変更に伴うデータの整合性の調整が必要になります。複数の情報を参考に適切な品目カテゴリを判断するだけの単純な作業ですが、根気のいる作業になります。
パンチアウトサプライヤーのメリット
バイヤー企業とパンチアウト連携できる可能性が高まる
バイヤー企業のパンチアウト連携の条件として、商品がUNSPSCコードによって分類されていることを条件としている場合があります。とりわけ、UNSPSCコードに基づき支出データを蓄積・管理しているバイヤー企業においてはその傾向が顕著です。そうした連携条件がある場合、自社商品がUNSPSCコードによって分類されていないと、必然的にパンチアウト連携先候補から外れてしまいます。
パンチアウトサプライヤーのデメリット
時間と手間がかかる
取扱い商品数が多ければ多いほど、商品の分類に時間と手間がかかってしまいます。
UNSPSCは購買データの可視化に役立つコード体系
購買活動は単なるコスト削減だけではなく、社内の支出を管理・統制する仕組みを確立し、会社の競争力向上に貢献することも求められます。社内の支出を適切に管理・統制する仕組みが確立できれば、全社の品目別の支出が可視化がされ、企業の経営状況に応じて適切に支出をコントロールできます。
網羅的なコード体系であるUNSPSCコードは、分析に耐えうる購買データの蓄積と蓄積された購買データの可視化を容易にします。優れた支出のコントロール機能を持つ仕組みを実現する1つの要素として、UNSPSCコードを有効に活用されてみてはいかがでしょうか。