cXML

購買・調達NAVI

cXML (commerce eXtensible Markup Language) は、1990年代後半にAriba社によって開発された電子商取引関連のデータを伝達するためのXMLベースのマークアップ言語です。
注文書や事前出荷通知、オーダー確認、請求書などの電子商取引の詳細データを自動的にやり取りできるドキュメントルーティングの一つです。cXMLは、cXML文書の構文と順序を記述するテキストファイル「文書型定義(DTD)」によって定義されます。

cXMLとは

cXML とは、電子商取引関連のデータを伝達するための言語で、SAP Ariba社が開発したオープン規格です。注文書や事前出荷通知、オーダー確認、請求書などの電子商取引の詳細データを自動的にやり取りできるドキュメントルーティングの一つで、電子商取引の購買トランザクションに広く採用されています。

cXMLにより、バイヤーの購買管理システム と受注システムを容易に連携・統合することが可能となります。それにより、サプライヤーは「手作業によるドキュメント処理」を「電子的なシステムによる自動処理」に置き換えることができ、大きな業務効率化を実現できます。そのため、取引件数が多いパンチアウトサプライヤーにおいては、必ず利用されています。

参考事例:SAP Aribaを利用するGoogle社では、サプライヤーとのcXML連携をGoogle社主導で推進しています。

cXML連携のメリット

では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。サプライヤー側のメリットだけではなく、バイヤー側のメリットも併せて解説していきます。

サプライヤー側のメリット

処理するドキュメントが多いサプライヤーにおいては、cXML連携により作業ミスの軽減や業務効率の向上を図ることができます。手作業でオーダー確認や出荷通知、請求書作成などを行う必要がなくなるため、ドキュメント処理が効率化され、作業ミスがなくなります。その結果、請求書の受入率が改善し、現金化までの時間のロスを最小限に抑えることができます。とりわけ、購買管理システムを通じて取引しているバイヤー企業の数や取引件数が多いほど、cXML連携によりサプライヤーが享受するメリットは、大きなものになります。

バイヤー側のメリット

サプライヤーのドキュメント処理が自動化されることで、未処理伝票のチェックやサプライヤーへの督促業務を軽減できます。そういったノンコア業務に取られていた工数をコア業務に充てることで、業務効率化やコスト削減といった業務に取り組む時間を増やすことができます。

cXML連携のデメリット

cXML連携にはメリットだけではなくデメリットもあります。バイヤー側とサプライヤー側のそれぞれのデメリットを見ていきましょう。

サプライヤー側のデメリット

cXMLに対応するためのノウハウや技術力、十分なリソースの確保が必要になります。自社の受注システムとバイヤーの購買管理システムを統合する場合は、開始から完了までに4~12週間かかることもあります。自動連携に必要なシステムの準備・構築のみならず、バイヤーとの打ち合わせやスケジュール管理、テスト手順書の作成、テストの実施・検証など、各工程・タスクに必要なリソースを確保しなければなりません。

バイヤー側のデメリット

サプライヤーに対するサポートが必要になるため、バイヤー側にも相応のリソースが求められます。具体的なタスクとしては、cXML連携要件の提示や全体のスケジュール管理、サプライヤーとの打ち合わせ、テスト対応等などがあるため、それらに対応できるリソースを確保する必要があります。バイヤー主導でcXML連携を推進する場合は、外部の手を借りる必要が出てくるかもしれません。

cXML連携を実現するためのポイント

cXML連携には、cXML形式のデータを内部データフォーマットに変換できるミドルウェア or バックエンドシステムの構築が必要になります。また、バイヤー企業からの注文書を自社の受注システムに直接取り込みたい場合は、購買管理システムとの統合作業も必要になります。cXMLは標準規格であるため、バイヤー企業の購買管理システムからほとんど同じ形式のデータ(注文番号や価格、数量、品番、配送先、請求先など)が送られてきますが、注意しなければならない点として、バイヤー企業によってcXML連携の要件が異なることです。そのため、しっかりとバイヤー企業のcXML連携の要件を把握しておくことが重要です。

購買管理システムの機能を把握・活用し、効率的な業務運用を!

購買調達DXの加速を背景に今後ますます購買管理システムを通じた取引を要請するバイヤー企業が増加していくと考えられます。その際にバイヤー企業から配布される操作マニュアルにただ従うだけではなく、購買管理システムの機能を学習・把握して、自社の組織体制や業務プロセスなどを踏まえた適切な対応をとらないと、非効率な業務運用になってしまうでしょう。

注文確認や請求書作成は、ミスや遅延があってはならない重要な業務です。しかしながら、事業の利益に直接つながらない業務でもあるため、できる限り効率化し、生産性向上を目指したいものです。効率化する方法には、システム操作を代行・アウトソーシングする方法や、RPAやメール共有システム等のツール、自社あるいは外注によるcXML連携の構築などがあります。どれが最適な選択かは自社が抱えている課題によって変わるため、慎重な判断が必要です。現場の従業員とのすり合わせを行い、実際の運用をイメージしながら検討することが大切です。

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