カタログ購買とは?種類や特徴、活用のポイントを解説!
購買・調達NAVI
購買管理システムを利用した購買方法の一つである「カタログ購買」。
このカタログ購買の使いやすさや充実度がユーザーの利便性や購買担当者の業務効率化に繋がります。
ここではカタログ購買の種類や特徴、メリット・デメリット、効果的な活用法を中心に解説します。
カタログ購買とは
カタログ購買とは、物品やサービス等の購買品目の情報を電子カタログにまとめることで、そのカタログを基に発注できる購買管理システムの機能の1つです。
バイヤー企業の社内ユーザーは、ECサイトで購入するような感覚で発注できることから、業務効率化のために多くの企業で利用されている機能になります。あらかじめバイヤー企業とサプライヤーとの間で、カタログの内容(対象となる品目や価格等)を決めておくことが効果的にカタログ購買を活用するためのポイントです。
カタログ購買の種類と特徴
カタログ購買は、「パンチアウトカタログ」と「ローカルカタログ」の2種類に分けられます。それぞれのカタログ購買の概要や特徴を解説します。
パンチアウトカタログ
パンチアウトカタログとは、バイヤー企業の購買管理システム経由でサプライヤーのECサイト(パンチアウトサイト)に入り、そこで商品を選択・購入できるカタログのことを言います。
パンチアウトサイトには、バイヤーとサプライヤー間で事前に取り決めした商品や価格を掲載することができます。
パンチアウトカタログのメンテナンス・アップデートは基本的にサプライヤー側で行うため、バイヤー企業でのカタログ管理の手間が省けることに加えて、リアルタイムな商品情報や在庫状況を確認できることも特徴の1つです。
また、横串検索機能を搭載している購買管理システムであれば、バイヤー企業のユーザーは、目当ての商品をサプライヤーのパンチアウトサイト上で探すのではなく、自社の購買管理システム内で探すこともできます。
ローカルカタログ
ローカルカタログとは、製品やサービスに関するデータを含んだ静的ファイルのことを指します。「CIFカタログ」「ホストカタログ」「内部カタログ」と呼ばれることもあります。
カタログファイルを購買管理システムにアップロードすることで、そのファイルに掲載されている商品を選択・購入できるようになります。事前に掲載商品や単価、取引条件などの契約条件をバイヤーとサプライヤー間で合意しておく必要があります。
容易にカタログを作成できる一方で、カタログの内容がリアルタイムで更新されないため、定期的にカタログの内容を最新版にアップデートする等のメンテナンスが必要になります。
カタログ購買のメリット
カタログ購買を利用するメリットを「パンチアウトカタログ」と「ローカルカタログ」に分けて以下の通り整理しました。
パンチアウトカタログのメリット
ロングテール支出の管理改善につながる
モノタロウのようなパンチアウトサプライヤーであれば、その膨大な商品ラインナップにより、小ロット&少額&多品種の購買品目をカバーできます。結果として、ロングテールの負担が改善され、都度見積や少額購買にかかる工数を削減できます。
常に最新の商品情報が提供される
サプライヤー側で定期的にカタログ内容をアップデートするため、常に最新の商品価格や在庫状況を確認できます。在庫切れによる注文キャンセル処理等のミスが生じやすい操作を最小限に抑えることができます。
業務効率化に繋がる
カタログのメンテナンスは、サプライヤーで行うため、バイヤー企業でのカタログのメンテナンスコストを削減できます。
社内ユーザーのシステム利用率・定着率の向上
慣れ親しんだECサイトような感覚で商品を選択・購入できるため、社内ユーザーのシステム利用のハードルが下がり、ストレスのない購買業務を実現できます。
ローカルカタログのメリット
カタログの作成・登録が容易
パンチアウトカタログのように複雑なセットアップやシステム統合を行う必要がなく、容易にカタログ作成・登録ができます。
対象となるサプライヤーが限定されない
ローカルカタログはExcelファイルやcsvファイルの使用が前提になりますが、それらファイルを使用できるサプライヤーであれば、どのサプライヤーでもカタログ作成・登録が可能です。
購買システム上で商品検索が可能
購買システム上で商品を検索・比較することが可能になります。
カタログ購買のデメリット
反対にカタログ購買のデメリットについても、同じように「パンチアウトカタログ」と「ローカルカタログ」に分けて説明します。
パンチアウトカタログのデメリット
対象となるサプライヤーが限定される
パンチアウトカタログは、バイヤー企業の購買管理システムとサプライヤーのECサイトを連携させる必要があるため、ローカルカタログと比べて設定が複雑であり、対応できるサプライヤーが限定されます。
購買管理システム上で商品を検索できないケースが生じる
横串検索機能に対応していないパンチアウトカタログの場合、購買管理システム上で商品検索ができないため、ユーザーはどのカタログから商品を購入するかを予め把握する必要があります。
ユーザーの慣れが必要
パンチアウトカタログ毎にUIが異なる為、ユーザーは各パンチアウトカタログに慣れることが必要です。
ローカルカタログのデメリット
カタログ管理の手間が生じる
バイヤー or サプライヤーにて定期的にカタログをアップデートする必要があるので、カタログ管理の手間が増えます。
カタログの内容が自動更新されない
定期的にカタログをメンテナンスしていない場合、古いカタログ情報が掲載されてしまいます。
拡張性に乏しい
ローカルカタログはカタログ情報が記載された非常にシンプルなテキストファイルであるため、パンチアウトカタログのように複雑な設定はできません。
カタログ購買を効果的に活用する5つのポイント
ここでは、カタログ購買を効果的に活用するポイントを解説します。
パンチアウトカタログとローカルカタログの適切な使い分け
購買品目の特徴を踏まえて、パンチアウトカタログとローカルカタログを適切に使い分ける必要があります。
サプライヤーがパンチアウト連携可能なECサイトを所有していることが大前提になりますが、パンチアウトカタログはサプライヤーECサイトの豊富な機能を活用できるので、ローカルカタログでは取り扱いが難しい、「商品の入れ替えや価格の変更が多いもの」「商品の点数が膨大なもの」「カスタマイズが必要な商品」などのケースに適しています。
一方で、ローカルカタログはパンチアウトカタログと比べて、簡単にカタログを作成・登録することができるものの、拡張性に乏しいため、「汎用品・規格品」「商品の点数が限られるもの」「頻繁に商品の入れ替えや価格が変動しないもの」などの場合に適しています。
カタログ支出データの適切な分類
カタログ購買の支出可視化を実現するためには、支出データが適切に分類されている必要があります。そこでよく利用される分類コード体系がUNSPSC。
UNSPSCに基づきカタログ支出が適切に分類されていれば、支出データを様々な角度から分析できるので、データに基づくカタログ化の推進策やコスト削減案を立案することができます。
適切なカタログ管理の徹底
利用するパンチアウトカタログやローカルカタログの数が増えるほど、カタログ管理業務も煩雑になります。
適切なカタログ管理がされていないと、人事異動や退職などでカタログ担当者が変更になった場合、各カタログが登録・改定された経緯が分からないといった状況が生じます。
そのため、サプライヤーからカタログ内容や契約内容について改定の申し入れがあった場合、自社に有利な条件で交渉を進めることができず、相手に有利な条件で契約内容が改定されてしまう可能性があります。SAP AribaやCoupaなどの「契約管理機能」を有する購買管理システムを利用している場合、そういった機能の活用が必要不可欠です。
価格体系等の契約条件はもちろんのこと、サプライヤーとの契約交渉・締結、その後の契約改定までの一連の契約サイクルの履歴を購買管理システム上で管理できます。カタログ担当者が変更になっても、各カタログが登録・改定された経緯をしっかりと確認できます。
そのため、サプライヤーから契約内容改定の申し入れがあっても、これまでの契約内容や経緯に基づき適切に改定交渉を進めることができます。
社内ユーザー向け操作マニュアルの作成
操作マニュアルが不要なほどカタログ購買の操作は簡単ですが、運用ルールの徹底やコンプライアンス対策という点から、ユーザー向けの操作マニュアルや購入ガイドは必須と言えるでしょう。
また、カタログ購買では、注文変更やキャンセル、誤操作時のリカバリ、想定外のエラー等、マニュアルとは異なる画面遷移が生じるケースがあります。
適切な操作マニュアルがないと、ユーザーからの問い合わせが殺到してしまいます。問合せをできるだけ減らすためには、様々なケースを想定して操作マニュアルを作成しておくことがポイントです。
カタログサプライヤーの新規開拓
カタログ購買においても、新規サプライヤーの開拓は非常に重要です。サプライヤーを固定化してしまうと、競争原理が働かず、コスト高やサービスの質の低下を招く恐れがあります。
定期的にカタログ購買の実績データを調査・分析の上、必要に応じてサプライヤーを見直したり、新規のサプライヤーを採用することで、既存サプライヤーとの間に競争環境が形成される等の良い影響を期待できます。
ただ、パンチアウトサプライヤーについては、パンチアウト連携可能なECサイトを所有していることが条件になる為、対象となるサプライヤーが限られます。
カタログ購買を利用する際の注意点
「カタログ購買」は、購買業務の利便性向上や業務効率化に繋がる一方で、その利便性の高さから不必要なものまで購入してしまう恐れがあるため、支出状況を統合的に把握し、分析できる仕組みを整備しておくことが重要です。
また、適切なワークフローを設定することで、不必要な購入申請をけん制でき、発注量の抑制を図ることも可能となります。
カタログ購買は購買業務の効率化に必須のツール
購買業務の利便性向上やオペレーション工数の大きな削減が見込めるカタログ購買。BtoB EC市場の拡大や購買管理システムを導入する企業の増加を背景に、パンチアウト連携に対応したサプライヤーも増えており、今後もこの傾向が続くと考えられます。働き方改革による業務効率化が求められる現在、カタログ購買は購買業務の効率化に欠かせない機能といえるでしょう。