サプライヤー管理システムとは?機能・種類・比較ポイントを解説!
購買・調達NAVI
サプライヤー管理システム(SRMシステム)とは、サプライヤー評価・管理のプロセスを見える化し、一元管理するシステムのことです。従来、紙やExcelで管理してきたサプライヤー評価を効率化でき、評価の公平性を確保しやすいことから、大企業を中心に多くの企業で導入が進んでいます。
サプライヤー管理システムの機能と種類、導入のメリットを解説するとともに、選び方・比較ポイントやおすすめのサプライヤー管理システムを紹介します。
サプライヤー管理システム(SRMシステム)とは
サプライヤー管理システムとは、サプライヤーに関する様々な情報を情報を取得し、サプライヤー管理・評価を効率的に行うためのシステムです。SRM(Supplier Relationship Management)システムと呼ばれることもあります。サプライヤー管理システムの機能は多岐にわたり、品質、技術、価格、納期対応などのさまざまな評価項目に対応しているものもあります。また昨今は、サプライヤー評価だけでなく、サプライヤーマネジメントや関係強化に役立つ機能を備えたシステムも数多く存在しています。テレワークが広がりサプライヤーとのコミュニケーションがしにくくなっていると言われている現在、的確なサプライヤー評価を実現する上で注目度が高まっているシステムです。
サプライヤー管理システムの主要な機能と実現できること
サプライヤー情報の管理
サプライヤーの品質やコスト、納期、技術、経営状況などの情報を一元管理できます。散在しがちなサプライヤー情報を集約できるので、サプライヤーの評価や格付、管理をする際にも役立ちます。
サプライヤー評価の管理
さまざまな評価テンプレートを登録できる機能が搭載されており、自社のサプライヤー評価方法に合った評価シートを作成できます。評価項目のカスタマイズが可能で、公正かつ的確なサプライヤー評価に役立ちます。評価内容の入力・ダウンロードに加えて、組織内での共有もシステム上で行えます。また、システム上に過去の評価実績が蓄積されるため、評価サイクルを適切に回すことができます。
サプライヤーの層別管理
重要性や優先度に応じてサプライヤーを分類してサプライヤーの管理を階層化することができます。各サプライヤーを適切に層別管理することができれば、サプライヤーの集約化施策やソーシングの戦略立案にも役立ちます。
ワークフロー・ステータスの管理
サプライヤー登録や評価のワークフローを設定できる機能です。評価者の設定ができるほか、登録プロセスや評価状況といったステータスを管理できます。期限までに対応してもらえるよう、通知やアラートを設定することも可能です。
サプライヤー管理システムを導入するメリット
これまでExcelや紙などで管理してきた場合、サプライヤー管理システムの導入によってどのようなメリットを得られるのかについて以下に整理しました。
サプライヤー評価の運用・管理を効率化
Excelなどでサプライヤーを管理・運用していく場合、評価シートの作成にはじまり、サプライヤーへの配布や回収、シートの集計・分析、ファイル管理などの業務に多くの手間と時間がかかります。サプライヤー管理システムを導入することにより、評価やそのプロセスの管理などサプライヤー評価にまつわる業務をシステム上で一元管理できるため、運用や管理にかかる手間を削減できます。また、評価状況やステータスをシステム上で管理できるため、提出遅れや漏れがあってもすぐに対応できるというメリットがあります。
評価の質が向上
サプライヤー評価の課題の一つに、評価者の主観やバイアスによって評価にばらつきが生じてしまうことが挙げられます。サプライヤー管理システムでは評価項目を詳細に設定できることに加え、登録・評価プロセスも可視化されるため、公正な評価を行いやすいというメリットを得られます。
サプライヤー選定を最適化
支出金額で上位を占める品目を中心に、ビジネスへの影響度合いに応じてサプライヤーを層別管理しておくことで、最適な取引先の選定が容易になります。そのような最適な取引先に購買を集約させることで、より良い条件での購買が可能になります。
分析結果をサプライヤーマネジメントに活用
システムによっては分析やレポート機能を充実させているものもあり、分析やレポート結果をサプライヤーマネジメントやサプライヤー育成の場面に役立てることができます。また、サプライヤーに質問票を送付・収集できるシステムも提供されており、適切なサプライヤー管理に役立てることができます。
サプライヤー管理システムを導入する際の注意点
サプライヤー管理システムを導入する際は、次のような点に注意する必要があります。
評価制度自体を見直す必要が生じることも
システム導入に伴い、評価シートや評価項目、承認フローなど、これまでの評価の仕組みそのものの見直しが必要になる場合もあります。また、システムの運用開始後に、評価の妥当性を検証して評価制度を見直す必要性が生じるケースもあります。こうした状況が生じることも想定したスケジュールや計画を立てておくことで、円滑なシステムの導入や運用を実現することができます。
運用ルールを事前に決めておく
運用ルールが定められていないと、システムの導入後に現場が混乱してしまう可能性があります。運用の管理者やユーザーの権限、業務フローなどのルールは前もって決めておく必要があります。サプライヤー管理担当者を中心に、社内のユーザーの意見も聞きながら進めることが円滑な運用のポイントです。
サプライヤーのオンボーディング
サプライヤー管理システムの導入は、サプライヤーのオンボーディングが非常に大切になってきます。システム化に伴う混乱や不安が生じないよう、導入の目的やメリットをサプライヤーに周知し、納得感や安心感をを持ってもらうことが大切です。また、操作マニュアルの作成やサプライヤーから問い合わせが来た場合の対応などについても、前もって決めておくことがポイントです。
サプライヤー管理システムの選び方・比較のポイント
サプライヤー管理システムを選定時に留意すべき点を解説していきます。
特化型と汎用型の違い
サプライヤー管理システムは、サプライヤー評価業務に特化したタイプと、サプライヤーパフォーマンス管理やサプライヤーのセグメンテーション、リスク管理なども視野に入れたサプライヤーマネジメントに対応できる汎用型の2つのタイプに分けられます。自社の課題や導入目的によって必要なタイプは変わるため、まずは何を解決したいのか、どの業務に活用したいのかを明確にすることがポイントです。
導入目的にあった機能があるか
サプライヤー管理システムの機能は提供各社で違いがあるため、まず自社の状況や目的を踏まえながら必要な機能を洗い出すことが重要です。たとえば、自社のERPシステムとのサプライヤデータ統合が必要な場合、データ統合が簡便なタイプが望ましいといえます。また、システム操作が苦手なサプライヤーを想定して、バイヤーで登録を代行する機能があるかなどを確認する必要があります。多機能なほど費用がかかる傾向にあるため、必要な機能に過不足がないシステムを選定するのがポイントです。
自社の規模に適しているか
サプライヤー管理システムには、小規模の中小企業にも対応しているものから、世界的な規模で事業を展開しているグローバル企業向けのものまで幅広くあります。各システムで強化している機能や使い勝手が異なるため、会社規模や自社の組織に合ったタイプを選ぶことが重要です。
自社の評価制度に対応できるか
サプライヤー管理・評価の方法は、各システムで異なるため、よく確認しておくことが必要です。ほとんどのシステムはサプライヤー情報の一元管理に対応していますが、なかにはパフォーマンス評価やリスク管理などさまざまな機能を搭載しているものもあります。また、自社の管理・評価方法をそのまま使用したい場合は、管理・評価方法の形式が自社に適しているかどうかも大きなポイントです。評価項目の設定や評価基準の構築などについてのカスタマイズ性も確認しておくと良いでしょう。
費用感が合っているか
システムによって、導入や運用の費用は大きく異なります。
クラウド型は導入コストが低いというメリットがあり、多くの場合はユーザー数に応じた定額制の料金体系となっています。パッケージソフト型は、導入時に相応のコストが必要となりますが、クラウド型のように定額の運用コストは発生しません。しかしながら、自社でセキュリティ対策を行わなければならないため、その分のコストを考慮しておく必要があります。オンプレミス型は、システム開発・構築を伴うため、導入にかかるコストは高額になります。また、システムの保守管理やメンテナンスなどの運用コストもかかります。最近の傾向としては、導入・運用のコストが抑えられるクラウド型が主流となっています。自社に必要な機能やコストを踏まえて、最適な製品を選択すると良いでしょう。
他のシステムやツールと連携できるか
サプライヤー管理システムの中には、購買管理システム やERPシステムなどとシームレスに連携できるタイプもあります。他のシステムやツールと連携することで、より業務の高度化や効率化を図ることができます。
セキュリティ対策が講じられているか
サプライヤーの機密情報を取り扱うサプライヤー管理業務では、情報漏えいに注意しなければなりません。堅牢なセキュリティ対策が講じられているか、アクセス権限の設定ができるかなどをチェックします。特にクラウド型は、提供会社のセキュリティレベルに依存するため、事前に確認しておくことが重要です。
適切なサポート体制はあるか
サポート体制や範囲は各社で異なるため、自社が必要とするサポートや継続的なサポートが受けられるかどうかを確認しておくことが重要です。導入時の設定・運用に不具合や疑問が生じる場合もあるため、サポート体制の有無と範囲をチェックしておくことも大切なポイントです。
サプライヤー管理システム(SRM)を提供する全国のソリューション企業一覧
企業名 | サービス名 |
---|---|
SAPジャパン株式会社 | SAP Ariba Supplier Lifecycle and Performance |
Coupa株式会社 | BSMアプリケーション |
株式会社日立製作所 | TWX-21 |
トレードシフトジャパン株式会社 | Tradeshift Engage |
日本オラクル株式会社 | Oracle Fusion Cloud Procurement |
日本ユニシス株式会社 | eBuyer Brains |
東芝デジタルソリューションズ株式会社 | Meister SRM |
インフォマティカ社 | Supplier 360 |
マイクロソフト社 | Microsoft Dynamics 365 |
おすすめのサプライヤー管理システム(SRM)
全国のソリューション企業の中から、おすすめの企業を紹介します。
SAP Ariba
SAP社の「SAP Ariba Supplier Lifecycle and Performance」は、サプライヤーをより適切に評価・管理するための包括的なサプライヤー管理システムです。サプライヤー情報の多角的管理や評価テンプレートの登録、優先サプライヤーの設定など、スムーズな評価・管理制度の運用を実現できる点が特徴です。
Coupa
Coupa(クーパ)社の「BSMアプリケーション」は、サプライヤーの管理・評価・リスク管理を通して、サプライヤー戦略を支えるクラウド型のサプライヤー管理システムです。優れた機能やUIにより、直感的に操作・設定できる点が特徴です。
業務効率化からサプライヤー管理強化へ
サプライヤーを取り巻く状況やリスクが多様化する今、サプライヤーの適切な評価・管理を実現するためのハードルは高まり、購買担当者の負担も重くなりがちです。しかし、最適なサプライヤー戦略を実現するためには、公正で透明性の高いサプライヤー評価を実現することが必須といえます。近年のサプライヤー管理システムは、社会の変化に応じてその時々の課題に合った機能をアップデートするなど、カバーする範囲が広がっています。業務効率化はもちろん、サプライヤー管理の課題を解決する手段として、検討してみてください。