購買調達KPI

購買・調達NAVI

購買調達KPI

KPIとは「Key Performance Indicator」の略称で、日本語で「重要業績評価指標」のことを指します。つまり、購買調達KPIとは、各種購買・調達業務の目標の達成度合いを測るための数値的指標を指し、KPIを適切に設定することは、購買・調達部門の目標や調達戦略の構築、コスト低減策の立案を行う上で重要です。

購買調達KPIとは

購買調達KPIは、購買業務の目標や購買戦略目標の達成において、進捗具合を数値化して評価するために使われます。KPIを設けることで、業務に関わる担当者が目的や目標を正しく把握でき、目標達成の意思統一を図りやすくなります。また、客観的に目標の達成度やそれに至るプロセスを評価できるため、担当者の評価を公平に行うことを目的に活用することもできます。それぞれの目的に沿って設定された購買調達KPIは、コスト削減の機会の創出やサプライヤーのリスクの管理、購買業務フロー の合理化に役立ちます。購買管理システム の視覚的なダッシュボードを活用することで、リアルタイムでKPIを把握し、改善に取り組むことができます。

購買調達KPIの種類

購買・調達業務で用いるKPIにはさまざまなものがありますが、主要な調達購買KPI は、次の4つのカテゴリに分けることができます。

コスト削減

コスト削減は、購買・調達業務で果たすべき責任のなかでも大きな比重を持つものであり、KPIが設定され進捗を管理されています。

しかしながら、その定義や計算方法には、さまざまな種類があり、曖昧の定義のままの運用を行っていると、価格低減額を後々検証しようとしても数字が合わず、再現不能ということにもなりかねません。したがって、コスト削減のKPIを設定する際は曖昧さを排除した運用が求められます。コスト削減を測るKPIは、低減額自体を評価するケースとバイヤーの評価に使うケースに分けられます。低減額自体を評価するケースでは、過去実績や類似実績との差額、同一見積内の価格差、予算との価格差などを指標とすることが多いです。一方で、バイヤーの評価に使うケースでは、値上げ要求や市場価格が上昇している状況でのバイヤーの貢献度合いを指標に加える必要があります。

サプライヤーのパフォーマンス

サプライヤーのパフォーマンスやリスクを最適化し、生産性や効率を向上させるために、多くの企業でサプライヤーのパフォーマンス・KPI管理を実施しています。重要なKPIとしては、品質や技術レベル、価格、納期対応、コンプライアンスの取組み状況などがあり、次のようなものがあります。

  • ・サプライヤーの品質評価
  • ・不良品納入率
  • ・サプライヤー毎の総支出
  • ・価格競争力の度合い
  • ・納入リードタイム
  • ・納期遵守率
  • ・契約遵守率

購買管理システム通過率

購買・調達部門で取り扱うべき品目が、適切な購買管理システムを通して支払いにつながっているかを測定するものです。この総額が購買・調達部門で取り扱っている支出額です。自社に支払いのシステムが複数あり、社員がそれら複数を使える場合や、新たに購買管理システムを導入した際にはこのシステム通過率を指標として、購買管理システムの使用率を管理していくことが効果的です。

購買プロセス遵守率

ひとつひとつの購買・調達プロセスが適切に管理・コントロールされ、購買・調達方針に対して適切な対応がとられているかの遵守率、つまり購買・調達オペレーションの正確さを測ることを目的としています。具体的には次のようなことが正しく行われているかを確認するものです。

  • ・購買依頼から発注・支払いまでにかかっている時間は適切か
  • ・契約割引の適用などの個別の契約条件が正しく適用されているか
  • ・下請法対象サプライヤーに対する対応が法的要件を満たして適切に実施しているか
  • ・優先サプライヤーや選定サプライヤー以外のサプライヤーを希望された場合に事前に決められた手順で集約化に誘導することに取り組んでいるか
  • ・カタログ登録のある品目において都度見積依頼があった場合に事前に決められた手順でパンチアウトカタログ カタログ購買 に誘導することに取り組んでいるか

このKPIにより、日々の購買・調達業務で何が起こっているかを把握し、改善すべきプロセスを把握できます。業務プロセスが適切に機能している場所とそうでない場所を特定して、有効な改善策を講じることが重要です。

最近注目されている購買調達KPIとは?

最近注目されるようになっているのが、CSR調達 や持続可能な調達の取り組み状況のKPI管理です。これらに関するKPIの設定は、どの企業も模索中の段階ですが、重視されるポイントは、法令遵守、人権・労働環境、安全衛生、環境保全、品質・製品安全性などがあり、KPIの例としては次のようなものがあります。

  • ・自社が定めるサプライヤー行動規範の遵守率
  • ・環境基準の遵守率
  • ・CSR調達アンケートに回答したサプライヤー数
  • ・監査を実施したサプライヤー数
  • ・CO2排出削減率

CSR調達や持続可能な調達への取り組みは、今後一層加速することが予想されます。質問票への回答や現場での監査を通して、サプライヤーの持続可能な調達への取組みについて適切に評価し、KPIを設定してモニタリングしていくことが重要です。

購買・調達部門の目標達成に資するKPI設定を

購買調達KPIの設定は、購買・調達部門の目標や調達戦略、コスト低減を達成するために欠かせないものです。適切なKPIを設定することにより、目標達成に至るまでのプロセスが明確になり、購買・調達部門のメンバーが同じ認識で業務を実施できるようになります。ただ、KPIを設定しただけでは効果は見込めず、定期的な効果検証や改善を行う必要があります。KPIを適切に活用するためには、設定すること自体が目的化してしまわないよう留意し、KPI設定時にどのように検証や振り返りを行っていくかを決めておくことが大切です。

関連記事

購買管理

購買管理

支出分析

支出分析

購買コンプライアンス

購買コンプライアンス

記事アクセスランキング

  • SAP AribaやCoupaの使いにくいという評判は本当?導入の課題と改善アプローチ

    SAP AribaやCoupaが使いにくいという評判は本当?導入の課題と改善アプローチ

    SAP AribaやCoupaは、ITの知識がなくても直感的に操作できる、優れたインターフェースを持つ購買管理システム です。簡単かつスピーディーにシステムを導入でき、他のシステムとも容易にシステム連携できる点が

  • パンチアウト連携

    最適なパンチアウト連携先の選定ポイントを徹底解説!

    最適なパンチアウト連携先を選ぶことはとても重要です。ユーザーのニーズにマッチしていなかったり、商品ラインナップが充実していないサプライヤーとパンチアウト連携してしまうと、ユーザーの満足度が下がり、

  • UNSPSCコードとは?

    UNSPSCとは?目的や活用方法、メリット・デメリットを徹底解説!

    企業間電子取引(B2B)における商品分類に使用される「UNSPSC」。購買支出を可視化できる環境を整えるという重要な役割も担っています。購買調達DXを背景に、企業での購買管理システムの導入が進むにつれ、ます

  • 調達購買DX

    調達購買DX

    購買調達DXとは、クラウドサービスやデータ解析、人工知能(AI)、RPAなどの最先端のテクノロジーを使って、購買管理 やソーシング、パーチェシング、支出分析、サプライヤー管理・評価などの購買・調達関連業務

  • 購買管理システムの種類と選び方・比較ポイントを解説!

    購買管理システムとは?種類と選び方・比較ポイントを解説!

    購買管理システムとは、ソーシングからパーチェシングまでの一連の購買プロセスを一元管理し、購買業務の効率化と質の向上を図るシステムです。自社のERPやサプライヤーのECサイトとの連携(パンチアウト連携)